数学・国語の記述化と対策

当ページでは2020年度大学入学共通テストにおける数学・国語の記述化と、それに対する当塾の対策を紹介します。

【目次】このページの内容は以下の通りです。
・数学・国語の記述化とその背景
・具体的な変更点
・求められる学力の変化とその対策

数学・国語の記述化とその背景

大学入試センター試験は2019年度(2020年1月)の実施が最後となります。そのセンター試験に代わる試験として2020年度(2021年1月)から『大学入学共通テスト』が実施されます。
これまで、全科目全問マークシート方式で行われてきたテストに記述式問題が導入されることが決まっています。

記述式問題を導入することにより挙がっている懸念事項(採点の公平性をどう担保するのか、採点にどのくらいの時間・人数を要するのか等)についてはここでは触れないこととして現状と対策について見ていくことにしましょう。

現行の学習指導要領の元で学んだ学生(2019年1月現在の中学1年生~高校1年生)は国語と数学に記述式問題が導入されることになります。
次期学習指導要領も元で学ぶ学生(2019年1月現在小学6年生以下)は国語と数学に加え、地歴・公民と理科でも記述式問題が導入予定となっています。地歴・公民と理科についてはまだまだ詳細は不透明ですので、ここでは国語と数学について考えていきましょう。

まず、なぜ今、センター試験の前身の大学共通第1次学力試験から40年近く続いた共通試験に記述式問題が導入されるのでしょうか。
その理由を文部科学省のその理由を文部科学省のHPでは、

記述式問題の導入により、解答を選択肢の中から選ぶだけではなく、自らの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を評価することができます。
(文部科学省HP http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1397733.htm より引用)

としています。

要するに、『今後ますます進んでいくAI技術の発達やグローバル化によって社会が大きく変化していくことが予想され、その変化していく社会で生きていく為には、解答の道筋が分かっている問題に対応できるだけでなく、持っている知識を利用して問題解決への道筋を自ら作り、答えを出すことが求められます。その土台作りとして、これまでよりもさらに理解力・思考力・判断力・表現力を問いたいために記述式問題が導入します。』というわけです。そのため、記述式問題以外のマークシート問題についても「実社会で起こりうる題材」を扱った問題に変わってきます。

以上の変更の趣旨を踏まえて、科目ごとの詳細を紹介します。

具体的な変更点

国語では、

➀ 記述問題が追加される
② 複数選択型の問(合っているものを全て選ぶもの)が出題される
③ 試験時間が従来の80分から100分に変更される

といった変化がプレテストで見られました。
29年度の試験後のアンケートにおいて受験者の80%が試験時間の短さを指摘し、90%が試験を難しいと答えています。このことから学生が記述や複数選択肢解答型の設問を苦手としていることが伺えます。

数学Ⅰにおいては、

➀ 記述問題が追加される
② 複数選択型の問(合っているものを全て選ぶもの)が出題される
③試験時間が従来の60分から70分に変更される

と変化します。
国語と同様のアンケートでは試験時間の短さを指摘した学生は80%難しいと指摘した学生も90%に及びました。

従来のセンター試験においても数学の出題で年々計算量が上がっていることが問題視されていますが、難易度はさらに上がるとみていいでしょう。大学入試センターがセンター試験を平均点6割を目標に作成しているのに対し、大学入試共通テストにおいては5割を目標に作成すると公表していることも、難化の証左となるでしょう。

求められる学力の変化とその対策

大学入学共通テストを受ける予定の皆さんや保護者の方々は、記述への対応に気を揉んでらっしゃるでしょう。
ここでは当塾ならではの対応策を紹介します。

共通テストへの記述導入には、文部科学省が掲げる学力の三要素、即ち

1.知識・技能
2.思考力・判断力・表現力
3.主体性・多様性・協働性

のうち、従来の試験では1の知識・技能に偏重しているという批判から、2の要素を重視したものへ変えていこうという試みがあります。

それでは、2の要素に関して具体的に必要となる能力を考えてみましょう。

思考力とは
思考力とは、簡潔に言うと「自分で考える力」です。
従来のテストでは問題文を読んで答えを探すという知識・技能型の解答であったのに対し、新入試のテストでは問題文から読み取った情報を整理し(自分が分かる言葉でまとめる)、自らの持つ知識と併せて問題に取り組んでいかなければなりません。
大学や、その先の社会における「答えのない問い」に対する対応力を身に付けるために、知識丸暗記では対処できない出題が増えてきています。

判断力とは
判断力は➀で整理した情報や身に付けている知識を解答に反映させるにあたって思考の過程でどれを使うべきか・使わないか解答に書くか・書かないかなどを取捨選択する力です。記述の問題では設問の要求外のことを書くと、点がもらえないどころか、減点される場合もあります。相手の要求に対して自分が適切なものを選んでいくことが実社会においても受験においても重要視されます。

表現力とは
表現力は相手に伝わるように自分の考えを文章化する力です。
国語で言うと結論に至った理由、数学では計算式などを自分の言葉で書いていく能力です。ここで重要になってくるのが言葉の使い方や文法、文章構成です。
例えば、「鬼の首を取ったように」の後に続く言葉は何か。良くありそうな誤用では「叱る」があります。迫力は伝わりますが、このフレーズは「大きな手柄を立てて大喜びする」という意味ですから、続く言葉は「喜ぶ」が適切です。また、「彼が殴った」と「彼を殴った」では受け手が受け取る情報は180度変わってしまいます。
自分の意図の通り伝わっているか確認するためには他者による添削が必須となります。

このような「求められる学力の変化」への当塾の対策は、
対話と添削の重視
です。

当塾の理念は「勉強のやり方を身に付けさせる」ことです。
このためには講師と生徒の対話が重要です。間違っているときはもちろん、正答していたとしてもどういうプロセスでその解答に至ったのか講師との対話を通じて生徒の解答作成の思考プロセスを分析し、他の考え方や考え方の正当性にアプローチしていきます。(思考力の養成)
その過程の中で必要となる情報や知識を取捨選択できているか(判断力の確認)、言いたいことを適切な言葉・表現で記述できているか添削(表現力の評価)します。

思考力・判断力・表現力を身に付けるためには実は個別指導の形態が最適です。
一斉授業や少人数学習でも添削を導入するなどはできますが、もともと自分の意見を表現することが苦手な生徒は、教師・講師との一対一の対話でなければ、自らの解答作成のプロセスを反省していくことは難しいでしょう。当塾では一人一人の生徒に対して解答に至った根拠や、思考のプロセスを尋ね、生徒に答えてもらう指導を行っております。ただ答えや解説を与えるだけでなく、自分の言葉で表現してもらい、講師と活発に議論を交わしていく中で思考力や判断力、表現力に至るまで総合的に養成することができます。

また、採点に関しても講師による添削を日々の演習の中で常に行っておりますので、他者に自らの意図を正確に伝えられているのか逐一判断することが可能です。記述を苦手とする背景には書きなれていないことが挙げられます。添削を通して分からない部分は納得のいくまで議論し、根拠を持って解答にたどり着く手助けを得ることで苦手意識は改善されます。

このように与えられるのではなく生徒自身の考えや創意工夫を引き出すことで、どのような問題にも対応する学力を身に付けて行ってもらいます。

2020年度以降の受験生や保護者の方々は急激な変化や情報の錯綜の中で困難な闘いを強いられることになると思います。
当塾の持つノウハウや逆転の実績に裏打ちされた指導力が皆さんの悩みの解決の一助となれば幸いです。

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