学習指導要領改訂と2025年度以降の入試

【目次】
1.変更・新設の科目
2.受験に対する今後の取り組み方

2022年度より新学習指導要領がスタートし、現在(2024年2月)に高校2年生より下の学年の生徒たちは新指導要領のもとで受験をしていかなければなりません。まず必修に変更がある教科、新設された教科を紹介し、それから受験に対する今後の取り組み方を紹介していきます。

1.変更・新設の科目

➀英語
英語は編成に大きな変化はないですが、要求される単語の量が大幅に増えます。具体的には3000語(中学1200語、高校1800語)から4000~5000語に増えます(小学校600~700語、中学1600~1800語、高校1800~2500語)。高校はあまり増えてないから大丈夫、と思うかもしれません。しかし、中学校1200だったものが小学校・中学校2200~2500と、倍増しています。英語が苦手で、中学内容も怪しい…となった時に復習するべき量がかなり多くなります。ほかの科目に手が回らないことにならないように、コツコツ覚えていきましょう。

➁国語
必修は「国語総合」から「現代の国語」・「言語文化」に変わります。大きな変更はありません。

③数学
必修は以前と同様に「数学Ⅰ」です。中身の変更は大きく、現行の「数学B」:数列、ベクトルから新課程の「数学B」:数列、統計的な推測、数学と人間の活動と変わります。また、「数学Ⅽ」が新設され、ベクトル、平面上の曲線と複素数平面、数学的な表現の工夫といった学習内容となっています。中身を入れ替えただけでなく、旧課程では学習しなかった「仮説検定」や「有意水準」といった内容も追加されます。

④社会
社会科目では従来の必修が「世界史(AまたはB)」と「日本史(AまたはB)」または「地理(AまたはB)」と「公民」だったのに対し、「歴史総合」と「地理総合」と「公共」となります。歴史科目では、日本史は若干難易度が上がるのではないかと思います。日本史は、大学によって出題する科目が異なります。
例 A大学 「日本史総合」と「日本史探求」
  B大学 「日本史探求」のみ
  C大学 「日本史総合」のみ
日本史探求のみの出題であれば社会の受験勉強スタート時期などそこまで変わらないかもしれません。歴史総合は学習内容が日本史30:世界史70のような比率で、しかも近現代史です(覚える量が多い)。歴史総合が必修である以上、高校1年生で学習することが多いと思います。高校3年生になって1からやり直すと、かなり時間がかかるかもしれません。

⑤情報Ⅰ
新たに必修となった科目です。国公立大学の発表によると、原則として「情報Ⅰ」は受験してもらう方針のようです。その中で、学力検査の配点に加えるかどうかは各大学の裁量に任されることになります。例えば、国立の香川大学は出願要件にはするものの、配点はナシと発表しています。私立大学では大部分の大学で選択科目になると思われます。大学入試センターが作問例をあげているのでチェックしましょう→(外部リンク)
情報Ⅰで学習する分野は「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」です。

2.受験に対する今後の取り組み方

国立入試だと今まで5教科7科目での受験が必要でしたが、2025年度入試から6教科8科目に増える上に、国語・数学・英語を中心に、大問数が増えるなど共通テストそのものの難易度も上がります。私立大学を第一志望にしている(または、情報を受験で使わない)生徒や学校推薦型選抜(指定校推薦)で大学受験を考えている方も、定期試験の科目が増えるので対策していかなければなりません。情報に学習時間がとられるということは、今までの高校生の学習スタイルは通用しないことになるでしょう。科目は増えて勉強時間は変わらないのであれば、今までよりも1教科にかける時間が減ってしまうのは言うまでもありません。1科目あたりの勉強時間を維持していくのならば総勉強時間を増やしていく必要があります。いずれにせよ今まで以上に勉強に早く着手する事と、志望校を決めて全体の計画を早めに立てておくことが重要です。

この件に関して懸念されるのは、現在大学受験を見据えている生徒も、その保護者の方々も、そして学校・塾の先生たちでさえ「6教科」を中心とした学習を経験していない点です。すなわち、これからの受験勉強に関して体験で語ることができる人はほとんどいないということです。

現実に、大手予備校では従来新学年は4月スタートであったのに対し、今年度からは1月スタートと、大幅に前倒しされています。2024年2月実施の進研模試にもすでに情報Ⅰ の出題があります。

具体的な対策は、上記にも挙げた通り、学習に早めに着手して情報を学ぶ際の負担を減らしておくことです。学習に時間のかかる国語・数学・英語の基礎学力の養成に今まで以上に急いで取り組む必要があります。(基礎学力に関してはこちらを参考にしてください。)

学校で現在学習している内容に加えて今まで取りこぼしてきたことを復習するのはとても大変です。春休み・夏休み・冬休みといった学校の学習が進まない長期休暇時にまとめて復習することでそれ以降の学習を円滑に進めていくことができます。
まずは自分の現在の学力を正確に把握し、目標に対して足りていない部分を埋められるように計画を立てましょう。

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